執筆者 : 田中 眞智子
くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、当ネットワークの運営委員や関係者によるリレーコラムを掲載しています。
第73回目は、尚絅大学教授 田中眞知子さんです。
執筆者 : 田中 眞智子

「わくわく江津湖フェスタ」にて
「ウオーターオフセット事業」
尚絅大学及び同短期大学部では、今年5月に「ウオーターオフセット米」を使用した食育事業を展開しました。
尚絅大学生活科学部栄養科学科、尚絅大学短期大学部食物栄養学科および尚絅大学短期大学部総合生活学科の教員と学生が「TKUの日2014inわくわく江津湖フェスタ~今年もみんなでかたらんね~」のイベントに2日間参加しました。
※ウォーターオフセット米・・・水田の水が地面に染み込み浄化される涵養の働きによって地下水が育まれているということから、「地下水を守る米」というような意味です。
「ウオーターオフセット米」を食べることが地下水の涵養に役立っていることを、認識してもらうことがこの食育事業の目的の一つでした。お米を作るときに、水田いっぱいに張られた水は、ゆっくり地下に浸透し、地下水になります。しかし近年、お米を作る人が減り、地下水の水位も低下の傾向にあるということです。(くまもと地下水財団公式サイトより)自然と農の関係をより身近に感じてもらい、熊本の食・熊本の農業を守るための取り組みについての理解を深め、その取り組みに貢献することの喜びを学生に分かってもらおうと呼びかけました。趣旨に賛同した学生や食サークルの活動の一環として協力を申し出た学生約40名が参加しました。
学生から米料理のアイデイアを出してもらい、試作検討を重ねた結果、おいしい米料理が出来上がりました。生活科学部栄養科学科 学生は「わくわく畑のとれたて野菜ご飯三種」と銘打ち、ご飯に熊本特産のさつま芋を揚げて、混ぜ込んだ「さつま芋ご飯」、人参をすりおろしてじゃこと一緒に混ぜ込んだ「人参じゃこご飯」、小松菜と塩昆布を混ぜ込んだ「菜飯」の3種類を提案しました。これらは熊本特産の新鮮な野菜や海産物をより身近に感じてもらい、同時に不足しがちな野菜類を摂取してもらいたいということで考案されたご飯です。一方、短期大学部食物栄養学科学生は「米平燕(マイピーエン)」を考案しました。春雨やきくらげ、鶉の卵など「太平燕」にはいっている具材を中華だしで炊いたご飯に混ぜ込み、太平燕の味わいを再現したものです。これら4種類のご飯をお弁当箱に詰め込み、会場で販売しました。発売と同時に長蛇の列ができるほど大好評でした。それぞれのご飯のレシピも準備し、販売時に手渡しました。
4種類のご飯の人気投票を行いましたが、1位は「米平燕」でした。そのほかのご飯も大好評で、作り方のレシピを片手に質問にこられる人も見受けられました。
熊本の豊かな地下水を後世に引き継ぐための、「ウオーターオフセット事業」への理解を深め、栄養士・管理栄養士として今後どのように貢献していくのかについて、考える良い機会となりました。