執筆者 : 田中 眞知子
くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、当ネットワークの運営委員によるリレーコラムを掲載しています。
第51回目は、田中眞知子さんです。
写真は紹介した学生のおせち料理
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年もおせち料理をつくり、家族そろっていただくことができました。手作りのおせち料理をあと何年続けられるか、年齢をいいわけにせずに頑張りたいと思います。おせち料理には各家の伝統が詰まっており、各家庭の味を伝える大切な役割があります。
さて、研究室の書庫を整理していたところ、1990年の学生レポートの綴りが出てきました。資料として大事に保管していたのですが、すっかり失念していました。それは「我が家の行事食」というテーマで出題した写真付きのレポートでした。出題したのが冬休み前であったので、学生のほとんどは「おせち料理」を我が家の行事食としてレポートをつくっていました。出来上がりの写真と作り方、分量など綿密に記載されたレポートでした。市販品も混じってはいましたが、ほとんどが手作りで各家庭ならではの味わいが感じられるおせち料理です。ある学生のレポートの一部を紹介します。
『毎年手作りのお節料理で正月を迎える。盛りつけが終わるのは31日の夜中頃になる。小さなころから手伝ってきて、年々自分にできる仕事が増えていくのがうれしかったことを思い出す。また盛りつける際にできる切れ端を「味見」と言いながら皆でつまむのも楽しいお正月の準備である。我が家のお正月は鏡もちを供えた神様にお参りすることから始まる。火や水、学業、商売、乗り物などに感謝するのである。その後みんなでそろって新年のあいさつをする。まず梅干しの入ったお茶を飲みながら、甘い物(干し柿や手作りの羊羹)を食べる。お屠蘇は年上の者から順にいただく。お節料理をとりわけ神仏に供えてから、家族でいただく。』
このような伝統が20数年前の1990年頃残っていたという貴重な資料です。おせち料理の写真とともに貴重な資料として、今後の食育に生かしていきたいと思います。
伝統を伝えていくのは、特別なことではなく日常の丁寧な生活そのものであることを学生のレポートが教えてくれました。