執筆者 : 坂本 勝美
くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、当ネットワークの運営委員によるリレーコラムを掲載しています。
第47回目は、坂本勝美さんです。
農家レストラン果夢樹は、玉名市天水町の小高いみかん畑にあります。そこの玄関脇にパン焼き窯を作ったのは十年ほど前でした。
今では小学生の親子レクレーション、親子会、婦人会の研修などたくさんの人たちがパンやピザ焼き体験に来てくれます。時には竹を切り、竹っぽん飯を作るときもあります。
今日も小学校がお父さんお母さんたちとにぎやかに山を登ってきました。子どもたちはワイワイガヤガヤと騒ぎながらも手を洗いエプロン姿で待っています。きっとワクワクしているのでしょう。
(パン焼きは初めてだ。うまくできるかなぁ)
(ピザを早く食べたいなーぁ)など思っているのでしょう。
さあ、始めましょう!可愛い生徒さんたち。石窯で朝早くより火を焚いて温度を上げているのはオーナーです。昼ご飯を作るのは店のスタッフ。パンやピザを子どもたちと一緒に作るのはパンの先生。店のフロアいっぱいにとてもにぎやかです。
パンの先生は挨拶のあと、いつも言っています。
「皆さん、パンやピザは好きですか?」
「ハーイ!大好きです。」
「それは良かったです。でも私たちは日本人です。日本人はご飯が一番です。パンも時々は良かばってん、ご飯を毎日うんと食べないかんよ。野菜と一緒にね。分かりましたか?」
「ハーイ」と子どもたちは素直に返事をしてくれます。
ここでは体験ですので、パンをこねるのは大きい餅つき器でやります。小麦粉は玉名産の『ミナミノカオリ』を用いています。中に練りこむのもご飯だったりネーブルの砂糖煮やマーマレード、雑穀米など地元の食材です。ピザのトッピングも地元の野菜をいっぱいのせています。ピザソースも玉名産の丸トマトやミニトマトで作ります。毎年トマトの季節の終わり頃、大量に作っています。発酵も自然の力にまかせています。そのため、真夏の二カ月間と真冬の三カ月間は、体験をお休みしています。
今日の子どもたちは、キャラクターパンと自分一人用のピザができました。これで午前中の体験は終わりです。
さあ、お昼ご飯です。
スタッフが前もって準備していたパンは、ご飯入りパン、トマトパン、メロンパン、ウィンナーロール、大きなピザ、サラダとスープもあります。今日のデザートは何でしょうか。
にぎやかな時間が過ぎる間にパンとピザが焼き上がりました。アンパンマンやきつねさんなどの動物のキャラクターと思い思いのパンがふくれて窯から出てきました。ピザも上手にできました。
これはお家方にお土産です。ワイワイ言いながら、自分の作品を探してます。ちょっぴり焦げ目がついてふくれたパンは、作ったときとたいぶん変わっています。さあ分かるかなぁ。見つけ出せるかなぁ。
楽しい時間も終わりの時間となりました。みんな焼き上げたパンとピザの袋を下げて山を下りていきます。
畑のみかんも色づき始めています。収穫の秋もそこまで来ています。
坂本勝美