スーパーのヨーグルト売り場でおなじみの「球磨の恵み」。 まず目を引くのが、あの巨大容器です。
でも、すごいのはデカさだけじ見出しタイトルゃありません。
スプーンを入れた瞬間のもっちり感、そして一口食べたら「もう球磨の恵みじゃないと満足できん…!」と誰もがトリコになる圧倒的な美味しさ。
まさに熊本が誇るご当地ヨーグルトの横綱です。
ところで皆さん、あのヨーグルトがどうやって作られているか知っていますか?
「そりゃ牛乳からできてるんでしょ」とは分かっていても、どんな牛がどんな場所でミルクを出して、どうやってあのモッチリ食感になるのか。考えてみると全然わからない。
ということで今回は、球磨郡相良村にある「球磨酪農農業協同組合」に突撃!
なんとメディアとして工場内部に潜入するのは、かなり稀とのこと。
牛たちが暮らす牧場から製造工場まで、ヨーグルト誕生の裏側をみっちり追いかけてきました!
まずは牛に会いに行こう!…って、山の上!?
ヨーグルトの命といえば、もちろん新鮮な生乳。 「球磨の恵み」は、球磨酪農に所属する複数の組合員(酪農家さん)から集められた良質な生乳をブレンドして作られています。
ならばまずは、現場の牛たちに挨拶せねば話が始まりません。
ということで今回は、組合員の牧場のひとつである「島津牧場」へお邪魔してきました!
ここには、なんと『天空の牛』と称される牛がいるらしいんです。
ワクワクしながら現地へ向かうも、周囲にあるのは山、山、見渡すかぎりの山。
どこにも牛の姿がありません。案内された先を恐る恐る見上げると…。
え、あんな山の頂上にいるの…?
しかし登るしかありません。
日頃の運動不足を恨みつつ、ヒーヒー言いながら急斜面を登ること数分。
なんかおるねえ。
しかも
めっちゃ近寄ってきてくれる!なんてフレンドリー!
実はここ、広大な山の斜面を丸ごと使った放牧スタイル。
草を食む牛、のんびり風に吹かれる牛、思い思いの特等席でくつろぐ牛。
見上げる角度によっては、青空をバックに牛がポッカリ浮かんでいるように見えることから、まさに「天空の牛」。納得の絶景です。
島津牧場をはじめ、こうした地域の酪農家さんたちの愛情とストレスフリーな環境づくりこそが、極上ミルクの源なんですね。
時間が来たら自力で帰宅!? 賢すぎる牛たち
さて、しばらくボーっと過ごしていたらなにやら牛たちの大移動が始まりました。
誰が号令をかけたわけでもないのに、隊列を組んでスタスタと坂を下りていきます。
なんと彼女たち、搾乳の時間を完璧に把握していて、時間になると自ら牛舎へ戻り...
「搾乳待ち」をするんだとか。え、めちゃくちゃ賢くないですか?
毎日、朝と夕方に行われる搾乳。体調や衛生面に細心の注意を払いながら、大切にミルクを分けてもらいます。
私たちがスーパーで何気なく手に取るヨーグルトの原点は、この牛たちと酪農家さんの信頼関係から始まっているわけです。
こうして搾られた新鮮な生乳は、いよいよ球磨酪農の工場へと運ばれます!
工場へ潜入! 完成までに「2日間」かかるワケ
組合員が搾った生乳は、球磨酪農へ集められます。
牧場から工場へ。
ここでバトンを受け取るのが、ヨーグルトを製造する工場の皆さんです。
今回密着したのは、おなじみの1kgタイプの「球磨の恵み」。
「牛乳に乳酸菌を混ぜたら、すぐ固まって出来上がりでしょ?」なんて思ったら大間違い。なんと完成までに丸2日もかかるのだとか。一体どんな秘密が隠されているのでしょうか。
まずは検査と殺菌。ヨーグルト作りの大切な第一歩
工場に届いた生乳は、まず専用の機械で異物がないか入念にチェック。その後、風味を損なわないよう丁寧に殺菌されます。口に入るものだからこそ、一切の妥協がありません。
私たちが普段見ることのない工場の裏側では、こうした工程を経てヨーグルト作りが進んでいるんですね。
そして、ここからがいよいよ本番です。
続いて投入されるのが、ヨーグルトの主役「乳酸菌」です。「球磨の恵み」に使われている乳酸菌は全部で3種類。
このトリオの黄金比率によって、あの独特のコクと酸味、なめらかさが生まれるのだそう。目には見えない小さな立役者たち、グッジョブです。 ありがとう!乳酸菌!
さて、乳酸菌を加えたら、いよいよ発酵!
…と思いきや。
ここで、ちょっと意外な工程が登場します。
えっ!?まだヨーグルトじゃないのに、容器に詰めるの?
乳酸菌を混ぜ終えた乳は、そのまま「充填(じゅうてん)」のレーンへ運ばれていきます。 目の前に並ぶのは、あの見慣れた1kg容器。
…ちょっと待ってください。 注がれている液体、まだ完全にサラサラの牛乳なんですけど!?
大きなタンクでドロッとしたヨーグルトを作ってから容器に詰めるものだとばかり思っていたのですが、「球磨の恵み」は違いました。乳酸菌などを入れた“ほぼ牛乳”を、先に容器へ密閉してしまうのです。
じゃあ、一体いつヨーグルトになるの…?
あの容器の中で、ヨーグルトが誕生していた!
謎を解くべく案内されたのは、厳重に温度管理された専用の「発酵室」。
そこにどんどん運ばれるのが、容器に詰められた製品たち。
そう、「球磨の恵み」は容器に詰めてからじっくり発酵させる「後発酵(あとはっこう)」という製法で作られていたのです!
乳酸菌が一番元気に働けるぬくぬくの室温の中で、時間をかけてじっくりと発酵。密閉された容器の内部で、サラサラの牛乳が少しずつあのモッチリとしたヨーグルトへと姿を変えていきます。
つまりあの容器そのものが、小さな発酵タンクだったのです!
いつも無心でペリッとフタを開けていましたが、まさかあのパックの中でヨーグルトが誕生していたとは。知ると誰かに話したくなります。
その後、発酵を終えた容器をじっくり冷却して、ようやく完成。 売場で手に取るのは一瞬、食べるのもあっという間ですが、あの1kgの裏側には丸2日間の手間ひまがぎっしり詰まっていました。
発酵を終えたヨーグルトは、最後に冷却し、完成。
出来上がった商品は次から次へと出荷されていきます。
このような工程を経て、ようやく「球磨の恵み」が完成するんですね。
そもそも、なんで1kg!?実は学校給食から生まれたヨーグルトだった!
ここまで製造工程を見せていただきましたが、もうひとつ気になっていたことがあります。
それは、あのサイズ。
ヨーグルトといえば小さなカップや400g程度の容器を想像しますが、「球磨の恵み」は堂々の1kg。
なぜ、そんなに大きくしたんですか?
ということで、球磨酪農の工場長にお話を伺いました。
実は「球磨の恵み」の誕生は2006年(平成18年)。もともとは一般販売用ではなく、学校給食向けに作っていたのだそう。
ところが、これを食べた学校の調理員さんや先生たちの間で「このヨーグルト、信じられないくらい美味しい!」と大バズり。
「個人的にも分けてほしい!」という熱烈なリクエストが殺到し、当初はタッパー等に小分けして量り売りしていたのだとか。
そして「これは本格的に商品化しよう!」となったのですが、ここで問題が発生します。なんと小さなカップに小分け充填する機械が、工場になかったのです。
そこで、「じゃあ、今ある設備で詰められる大きな容器で出しちゃえ!」と生まれたのが、あの1kgサイズ。 なんと、最初からインパクト狙いだったわけではなく、設備上の都合とファンの熱意が生んだ奇跡のサイズだったのです!
発売後、「家族みんなでたっぷり食べられる」「もっちりして贅沢!」と口コミが爆発し、今や看板商品へと成長しました。
ちなみに甘党の工場長にイチオシの食べ方を聞いたところ、 「健康も考えて、『砂糖不使用』と『加糖』をハーフ&ハーフで混ぜて食べるのが一番好きですね」 とのこと。贅沢なニコイチ食べ! 1kgサイズだからこそできる技、ファンならぜひ試してみたいところです。
いつものヨーグルトが、地域の元気につながる
最後に、工場長からこんな言葉をいただきました。
「地震があり大変な状況ではありますが、県南の豊かな酪農・乳業の現場から、安心・安全で美味しい乳製品を日常的に皆さんのもとへお届けし続けることが、私たちの何よりの使命だと考えています」
震災の影響が残る中でも、美味しいヨーグルトを届け続ける。
その裏側には、牛を育てる酪農家がいて、毎日生乳を集める人がいて、工場で製造する人たちがいます。
私たちが何気なく手に取る「球磨の恵み」は、そんな地元の人たちの仕事によって生まれているんですね。
復興支援というと、何か特別なことをしなければと思うかもしれません。
でも、地元の商品を買って、美味しく食べる。それだって、地域を応援するひとつの方法です。
美味しいから買う。それが地域の元気にもつながる。
そんな地産地消も、いいものですね。