A Millennium Ahead: Aso’s Circular Future, Connected Through One Dish
これまで巡ってきた、山村酒造の水、高森田楽の芋とヤマメ、山田牧場のミルク。
これらを貫く巨大なバックボーンが、「世界農業遺産(GIAHS):阿蘇の持続的農業システム」です。
このシステムの核となるのは、1000年以上前から続く人と自然の共生です。
象徴的なのが、毎年春に行われる「野焼き」。
一見、自然を壊すようにも見えるこの行為は、草原が森林へと変わってしまうのを防ぎ、多様な草花や希少な動植物を守るために欠かせません。
「野焼き」によって芽吹いた草を牛が食べ、その牛が落とした糞尿が肥沃な堆肥となって再び土を肥やす。
そして、広大な草原に蓄えられた雨水は、長い年月をかけて磨かれ、山村酒造の仕込み水やかわべ養魚場のヤマメを育む清流となります。
この完璧な循環こそが、世界に誇るべき阿蘇の宝物なのです。
しかし、この美しい風景の裏側には、絶滅寸前の伝統野菜「つるの子芋」を守る後藤マサ子さんや、後継者不足に悩む食にかかわる職人たちの現実もあります。
シェフが阿蘇の食材を選び、私たちがそれを美味しく味わうこと。
それはこの千年の循環を次の世代へ繋ぐための、最も身近で力強い「一票」になります。
阿蘇を味わうことは、阿蘇の未来を創ること。私たちは、この美しい循環が、次の1000年に続くことを願っています。