くまもとのアグリ&フードトップへ
文字サイズ変更 拡大標準
背景色変更 青黒白

【vol.29】海外から注目を集める芦北の山間の茶葉を、釜炒り茶や紅茶で

最終更新日:
  • DSC04777

世界最高賞受賞の紅茶も野生の山茶から始まった茶園

お茶のカジハラ(葦北郡芦北町)


  • DSC04691

     昼夜の寒暖差が大きく、霧の発生しやすい山深く。芦北インターチェンジから山手に20分ほど車を走らせた先にある告(つげ)地区は、お茶の栽培条件に恵まれた場所です。山肌に自生する野生のお茶を山茶といい、この地で70年以上続く茶園「お茶のカジハラ」は、この山茶から始まりました。



  • DSC04794

     日本では古くから多くの家庭の庭木や垣根に茶の木が植えてあり、夏の初め頃になると葉を手摘みして自家用のお茶にしていました。告地区も同様で、住人たちは近くの山に自生する山茶を摘んで飲んでいたと伝わります。「私の曽祖父が茶の栽培を開始し、製茶工場を建て、地元を中心にお茶の販売や委託加工を始めたのがお茶のカジハラの始まりです」と梶原康弘さん。父で3代目の敏弘さんとともにお茶作りをしている若きお茶農家です。令和2年7月豪雨では、茶園や茶工場に大きな被害を受けましたが、多くの人の支援を受け、なんとか復旧することができました。


  • DSC04757

     「お茶のカジハラ」は畑の総面積が2.5ヘクタールほどの比較的小規模な茶園です。いずれも山奥や段々畑、急斜面にあり大型の機械を入れられず、化学肥料や農薬、除草剤を使わないため管理や収穫に人の手を多く要することから大量生産ができません。中でも代表商品の「深山」は自生の茶葉を用い、全国の緑茶生産量の1%以下とされる珍しい製茶技術の釜炒り製法で仕上げることから希少性が高くなっています。  釜炒り茶は生葉を300度にもなる高温の直火釜で炒り上げ、茎と葉の水分を均一にするため揉み、乾かし、さらにまた炒って、と製造に手間がかかります。中国伝来の製法といわれ、茶葉の形が勾玉状に仕上がるのが特徴です。釜香(かまか)と呼ばれる香ばしさがあり、味わいはさっぱり。苦味や渋味が少ない軽やかな飲み心地のため飲み飽きることがありません。また、黄金色といわれる釜茶特有の水色を持ち、お茶を淹れるたびにゆっくりと茶葉が開き、香りと味の変化を楽しむこともできます。


  • DSC04703

     食文化の変化やペットボトル飲料の普及の影響を受け、緑茶の消費量は1980年頃から低迷しています。そこで、父の敏弘さんは10年ほど前から紅茶の製造も始めました。当時の日本ではまだ紅茶の製造が活発ではなかったため、中国や台湾に出向いて勉強をしながら試行錯誤を重ねて商品化。完成したのは雑味がなくまろやかな味わいの和紅茶です。口にすると体にすっと染み渡るような、なめらかで透明感のある飲み口が特徴です。



  • DSC04690
  • DSC04676

 梶原さん親子は栽培品種を増やし烏龍茶の製造にもチャレンジするなど製茶技術の研鑽を積み品質の向上に努めています。そして2022年には世界各国の茶葉が集まるイギリスで開催された国際コンテストTHE LEAFIES International Tea Academy Awardsで「夏摘みべにふうき」が最高賞を受賞しました。また、翌年には「釜炒り茶 香駿」が同コンテストの釜炒り茶部門で金賞を受賞するなど、海外からも注目を集める存在となっています。

  • DSC04685

     康弘さんは「炒る、揉む、乾燥、発酵などお茶作りにはさまざまな工程があり、茶葉の生育状況や加工直前までの天候、気温、湿度によって調節しながら加工しなければなりません」といいます。「例えば、萎凋(いちょう)と呼ばれる乾燥工程もただ茶葉を乾かせば良いというわけではないし、揉捻(じゅうねん)作業もただ揉めば良いということではない。芯水(しんみず)の抜き具合で仕上がりが大きく左右されるから、各工程で五感を使って具合を見極めるスキルが必要です」。生葉の状態を見て、釜炒り茶を作るか紅茶を作るか決めることもあるそうです。


  • DSC04753
  • DSC04730

 「うちの茶園で最も古い山茶の木は100年もの。実生(みしょう:挿し木ではなく種から育てること)の在来種も樹齢70年以上ですが、どれも根がしっかりと深く張っていて、まだまだ元気ですよ」と康弘さん。今後の展望を尋ねると、「お茶人口の裾野を広げていきたい」と一言。より多くの人にお茶のおいしさと楽しさを知ってもらうため、地元産のイチゴやユズを使ったハーブティーや、手軽さを重視したティーバッグといった商品開発にも積極的に取り組んでいます。

 「父とともに茶園に立つようになりもうすぐ10年。まだまだ勉強中です」と話すその笑顔の向こうには、代々受け継いできた山茶を守っていく強い決意が垣間見えました。



<熊本県産の食材を買うなら!>

芦北産の新鮮な農畜産物がずらり!

道の駅 芦北でこぽん

  • DSC04800
  • DSC04808
 米や野菜、イチゴや太秋柿などの果物、特産のタチウオや真ガキ、足赤エビをはじめとする魚介類、黒毛和牛のあしきた牛といった地元産の農畜水産物がそろい、いずれも鮮度抜群。中でもかんきつ類は不知火やはるかなど種類豊富に並びます。併設の焼肉店「ぎゅーぎゅー亭」ではあしきた牛を手頃な価格で満喫できます。

<お買い物オススメポイント>
  • DSC04816

    ■デコポンⓇ 

  •  酸味と甘さのバランスが良く、やわらかな果肉が特徴のデコポンⓇは贈答用としても人気。12月からハウス栽培が出回り、3~5月頃には露地ものが並びます。 

  • (デコポンⓇは、JA熊本果実連の登録商標です)

  • DSC04820

    ■サラたまちゃん

  •   辛味が少なくみずみずしいタマネギ。生食はもちろん、煮ても焼いても美味。旬は2月上旬~6月で、2月中旬までは期間限定で葉付きサラたまも出荷。

  • DSC04825
■あしきた牛
芦北管内で肥育した黒毛和牛で、うま味のある霜降り肉。ステーキや焼き肉のほか、惣菜コーナーではあしきた牛入りの手作りメンチカツも販売。

■道の駅 芦北でこぽん
住所:葦北郡芦北町佐敷443
電話番号:0966-61-3020
営業時間:9:00~19:00
店休日:1月1日・2日
このページに関する
お問い合わせは
(ID:2844)

重要なお知らせ

カウントダウン

注目情報

トピックス

熊本県地産地消サイト
熊本県農林水産部流通アグリビジネス課
〒862-8570 熊本市中央区水前寺6丁目18-1
電話:096-333-2424(直通) FAX:096-383-0380

© 2021 Kumamoto Prefecture, © 2010 kumamoto pref.kumamon

このページの先頭へ