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【vol.28】一度途絶えた黒砂糖作りの技を復刻させ、次代へ引き継ぐ

最終更新日:
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かまどで丁寧に煮詰めていくから、うま味が強い黒砂糖

熊本のおいしい調味料・加工品【黒砂糖】

三角サトウキビ活性会(宇城市三角町)


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     サトウキビの汁を煮詰めて作られる「黒砂糖」。沖縄など南国で生産されている印象が強いですが、実は熊本県内でもサトウキビの栽培や黒砂糖の製造を行う場所が増えてきています。その中のひとつが宇城市三角町。地元の有志が集まって「三角サトウキビ活性会」が結成され、昔ながらの製法での黒砂糖づくりが継承されています。



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     サトウキビの収穫期である12月頃から2月頃までの毎週末、会の人々が製糖所に集まって黒砂糖づくりの作業を行っています。その集会所の中心には、サトウキビ汁を煮詰める上で大事な役割を担うレンガ作りの三連の窯があります。薪の火でサトウキビの汁を煮詰める黒砂糖の製法は三角町で昔から受け継がれてきたものですが、実は昭和初期に一度途絶えていました。しかし町内でひとりでサトウキビの栽培を続けてきた人物の存在によって、また復活させることができたのだそうです。その人物が、髙濱希好(きよし)さんです。


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     今は柑橘の産地として有名な三角町ですが、昭和前半までこの一帯にはサトウキビ畑が広がっていたそうです。その歴史を聞くと、江戸後期の文政8年に地域の庄屋が徳島県からサトウキビの種を持ち込み、農家で栽培を始めたのがはじまり。当時、黒砂糖は高値で売れて地域は栄え、黒砂糖御殿が何棟も建つほどに豊かになったそうです。しかし戦後になると安価な輸入砂糖類が大量に入ってきて黒砂糖が売れなくなり、昭和36年頃から一帯の農家は柑橘栽培に切り替え、黒砂糖生産も廃れてしまいました。髙濱さんも柑橘農家を営んでいましたが「私はミカン畑の一角でサトウキビを栽培し続けたんですよ」と朗らかな笑顔で語ります。


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     平成元年頃になると、地元の青梅小学校では、校長やPTA関係の人々からの要請で、髙濱さんが小学校での体験学習の講師となり、黒砂糖作り体験を始めることになりました。体験学習を続けるうち「三角のサトウキビ栽培と黒砂糖をもう一度活性化させたい」との機運が高まって、三角の黒砂糖復刻への種火が灯りました。そして地元農家を中心とした有志により「三角サトウキビ活性会」が結成され、平成25年に本格的な栽培・製造が始まりました。



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     三角町には柑橘類などが栽培されなくなった耕作放棄地が増えており、その土地を生かして地元の有志達がサトウキビを栽培。そして、サトウキビの汁を煮詰める三連窯の制作においては、髙濱さんが遠い記憶を呼び起こして図面を起こし、地元の左官さんによって作られました。


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     上の写真のサトウキビを搾る機械も、髙濱さんが使っていたものをサトウキビ活性会に提供。何と70年以上動き続けているという代物です。


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     工場生産品が増えている黒砂糖ですが、髙濱さんは薪の火で熱しながら煮詰めていく昔ながらの製法とその伝承にこだわっています。作業場内を駆け回り、仲間たちに技術を教え、圧搾機や火の加減を見て、と88歳という年齢を感じさせない機敏な動きの髙濱さん。


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    圧搾機で搾ったサトウキビ汁を濾して、不純物を取り除くと…。

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     この三連窯に載せられた鍋に汁を注ぎます。煮詰める中で徐々に左の鍋に集めていき、最終的には120リットルの搾り汁が20リットルになるそうです。ちなみに薪は火の保ちがいいミカンの木や、地元の建材店から提供される端材を活用しています。


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     薪による火の細かな調整や、液を鍋から鍋へと移していくタイミングを見極めるのは職人技。「三角サトウキビ活性会」事務局長の宮本久さんは「毎年、髙濱さんに習いながら取り組んでいますが、なかなか難しいです」。


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     そして黒砂糖の出来を最も左右するのが、窯から揚げるタイミング。「この30秒が勝負。早すぎても遅すぎてもダメです」と髙濱さんは熱弁します。髙濱さんは、なんと自らの指の感覚で煮詰まった液の状態を確かめることでその30秒のタイミングを見極めます。「この技はとても熱くて我々には難しいので、代わりに液のとろみ具合でタイミングを測れるよう励んでいます」と微笑む宮本さん。


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     そうして煮詰まった液を型に流し込み、固まったら完成です。大体1時間ほどで固まってしまうそうです。


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     窯から上げた液をサトウキビの茎に纏わせた「棒巻き」は、黒砂糖の製造の場でのみ楽しめるおやつ。小学校での体験学習では、子ども達が夢中になって頬張るそうです。

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     固まった黒砂糖は食べやすい大きさに割られ、パッケージに入れて商品に。「三角物産館 ラ・ガール サンサンうきっ子みすみ」にて12月から3月頃まで販売されますが、毎年、人気が高くすぐに売り切れてしまうのだそうです。ちなみに、黒砂糖で作ったシロップやお菓子も店頭に並びますが、こちらも売り切れ御免だとか。

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     その人気の秘密は、やはり味の違い。ミネラル分を感じるようなうま味の強い甘さは、昔ながらの釜炊き製法だからこそ。毎年、この黒砂糖を目指して買いに来る人がいるというのも納得です。「煮付けや角煮に使うと、やはりおいしいです。さらに、コーヒーやホットミルクに混ぜるのも、三角の黒砂糖ならではの風味が引き立ちます」と宮本さん。さらに、黒糖シロップを焼酎にたらりと垂らす飲み方もおすすめだとか。

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     江戸時代から昭和まで続くも一度は途絶えた製法を髙濱さんがただ一人引き継ぎ、そしていま地域の人たちへと伝え広げている三角のサトウキビ栽培と黒砂糖づくり。その付加価値を知ると、黒砂糖の素朴な甘さによりいっそう深みを感じられるような心地です。



<熊本県産 食材&調味料・加工品で一品>

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スペアリブのデコポンⓇ煮

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     デコポンⓇ(不知火類)の甘みと砂糖じょうゆの甘みが程よいバランスで、豚肉の脂もあっさり楽しめる一品。口の中で豚肉がほろっと崩れる柔らかさもたまりません。

  •  【材料】(3~4人分)

  •  豚のスペアリブ(骨付き肉)400~500g

  •  水150~200cc

  •  サラダ油 適宜

  •  デコポンⓇ(不知火類)マーマレード 80g

  •  しょうゆ(こいくち)40~50cc

  •  黒砂糖 大さじ1

  •  デコポンⓇ(不知火類) 1個

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  • デコポンⓇはJA熊本果実連の登録商標です。


  •  【作り方】

  •  (1)デコポンⓇ(不知火類)を皮のまま半月切りにします。

  •  (2)厚手の鍋にサラダ油を熱し、豚のスペアリブの表面に焼き目をつけます。

  •  (3)水を150〜200cc加えます。

  •  (4)黒砂糖、マーマレード、しょうゆ、デコポンⓇ(不知火類)の輪切りを加えて蓋をし、中火で煮ます。

  •  (5)アクが出たら取り除きます。

  •  (6)煮汁がほとんどなくなるまで煮からめながら、照りがでるように仕上げたら、完成!

  •  POINT

  •   デコポンⓇ(不知火類)を使うことでお肉が柔らかくなり、骨からの身離れが良くなるので、ほろっと食べやすく仕上がります。さらに味も染みやすくなるので、煮込み時間が短く済むのもポイント。




ルーロー飯

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 上白糖の代わりに黒砂糖を使うことで、味に深みが出ます。タレの甘さとお肉のうま味で、ご飯が止まらなくなる一品。はじめに焦げ目をつけることで、香ばしさとネギ・タマネギの甘さが引き立ち、さらに食が進む味わいに!


材料(4人前)

豚バラ塊肉(焼肉用バラ肉でも可)250g

豚ローストンカツ用 150g

ニンニク(みじん切り)1かけ

ショウガ(みじん切り)30g


A

ごま油 大さじ1 1/2

玉ねぎ(みじん切り)1/2個

長ネギ(みじん切り)1/2本

干しエビ(みじん切り)10g


B

五香粉(ウーシャンフェン) 小さじ1 1/2

黒砂糖 大さじ3

紹興酒(赤酒やみりんでも可) 大さじ4

しょうゆ 大さじ3

黒酢 小さじ1




1.豚バラ塊肉と豚ローストンカツ用を拍子切りにします。

2.鍋にAのごま油、みじん切りにした長ネギ、玉ねぎ、干しエビを加え、よく混ぜながら火の調節を行い、焦げ目をつけます。。

3.水分が飛び始めてパチパチ音を立てて鍋底に貼り付き始めたら、一旦火を止めて1〜2分おき、木べらで鍋底の旨みをこそげ取ります。

4.揚げ焼きしたように香ばしく色づくまで、3.を2〜3回繰り返します。

5.みじん切りにしたニンニク、ショウガを加えて炒め、香りが立ったら拍子切りにした豚肉をすべて加えます。

6.肉の色が変わってきたら、Bの砂糖、五香粉、紹興酒、醤油を肉にかけるように加えて都度混ぜ、その後塩ひとつまみ、粗挽き胡椒を加えて一混ぜします。

7.水2と1/2カップを加えて蓋をせずに火にかけます。ゆで卵をトッピングする場合は一緒に煮て煮卵にしても良いです。

8.沸騰したらアクをとって弱火にし、少しずらして蓋をして、煮汁が半量になるくらいまで1時間ほど煮ます。

9.最後に黒酢を加えてひと煮立ちさせます。

10.ご飯の上に盛り付けたら完成


POINT

お好みで卵やパクチーを添えてもおいしくいただけます。五香粉(ウーシャンフェン)は最近ではスーパーにも売ってあります。麻婆豆腐などに加えてもおいしく、一気に台湾風味になる優れものです。


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