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くまもと食・農ネットワーク運営委員リレーコラム【第20回:小出委員】

最終更新日:

 

「出来たばかりの天日塩」
執筆者 :  小出 史

くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、当ネットワークの運営委員によるリレーコラムを掲載しています。
 第20回目は、当ネットワーク運営委員の小出 史さんです。
 

 

「出来たばかりの天日塩」  第20回の2

     「出来たばかりの天日塩」        「通詞島の塩づくりスタッフ」

 

「ご縁(塩)に支えられて」~主役を引き立てる名脇役~

 

「なぜ、塩の仕事を?」「テレビ局の方が良かったんじゃない?」。テレビ局を辞めて古き街並みが残る熊本市中唐人町に「お塩屋さん」を開いた当時、会う人ごとにこう尋ねられた。無理もない。テレビ局勤務から、どのように考えれば塩屋につながるか不思議だから。早いもので、あれから11年になる。
きっかけは、天草市五和町の通詞島で作られている手仕事の海塩を取材したことだった。サラサラの科学塩と違い、結晶は大きく太陽の光を浴びてキラキラと美しかった。口に入れると、突き刺さるような塩辛さはなく、むしろ甘みさえ感じた。その塩で握ったおにぎりの美味しいこと!その塩で焼いた魚の塩焼きの美味しいこと!天草の新鮮な天然魚なら、より最高だ。放送局の不規則な食生活で心身のバランスを崩していた私にとって、久しぶりに「美味しい!」と感じられた出来事で、元気を取り戻すきっかけになったのだ。
数年前、東京オリンピック選手村を支えた料理人を描いた番組を見た。何げなく見ていたが思わずテレビに近づいた。というのは、一様に食欲を無くしていく各国の選手たちを「うまい!」とうならせたのは「ひとふりの塩」だったというナレーションが流れたからだ。まずくはないが、食が進まないと訴える選手たち。日本人料理長は練習する選手たちの大粒の汗を見てその理由に気付いた。体内の塩分が失われた選手たちにとって、少し多めの「塩」は何よりのミネラル補給であり、いかに食欲をそそるものだったかということを。
塩分の過剰な取り過ぎは良くないが、塩は私たち「生きもの」にとってなくてはならないもの。特に日本の伝統食には必要不可欠だ。
塩は「味をつけるもの」ととらえがちだが、「味を引き出すもの」だとつくづく思う。産山村のあか牛に、手作り豆腐に、あぶり寿司に、トマトやキュウリにも最高に合う。塩によって肉や豆腐など素材そのものの味が引き出される。
塩は、なくてはならない脇役だ。
お店には、「自宅でお味噌を作りたいので・・・」というお客様もお見えになる。「主人が高血圧だし、安心できるお塩で・・」とグループで味噌作りをされる方も多い。その後しばらくすると、「美味しいお味噌ができました!」と再び笑顔でお見えになったり、出来上がったお味噌をおすそ分け頂いたり、微妙に旨味が異なる、それぞれの味噌汁を楽しませてもらっている。
すばらしい「水」に恵まれた熊本、その豊かな熊本で作られたお米や野菜、地元で獲れた魚や肉なら、ぜひとも地元の塩で味わって頂きたい。素材の味がより引き出されるに違いないし、「豊かな食」は明日への活力につながっていくことだろう。

 

                 有限会社「ソルトファーム」代表取締役 小出 史

 


 

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