化学的な味をつけなくても
水俣市久木野ふるさとセンター愛林館館長 沢畑 亨
今回のテーマは、化学調味料を使わない味付け。化学調味料は確かに美味しいが、その味に舌が慣れてしまうと、強めの味が好きになって、塩や油の取りすぎにつながるのではないかと心配している。
先日、私が勤める「愛林館(水俣市)」に神奈川学園高校(横浜市)の修学旅行生が訪れた。当校が「愛林館」を訪れて17年目になる。
カリキュラムは、午前中に豆腐とうどん作り、合鴨農法で働いた合鴨の解体を見学して、昼食に合鴨鍋を食べる内容である。
鍋の材料は、合鴨の他に、こんにゃく、えのきたけ、あさり、椎茸、大根、葉物野菜。年によってはこんにゃくは手作りを用意するが、今年は水俣市産の芋こんにゃくを買ってすませた。
椎茸、大根は、うどん作りを教えてくれたトシエさんの差し入れだ。白菜はまだ小さかったので、水俣市産の山東菜を地元の直売所で買ってきた、あさりは県産、えのきたけのみは福岡県産。
鍋はスープが勝負。前夜から水俣市の漁師である杉本水産(地元で有名なコミックバンドやうちブラザーズのメンバーでもある)のいりこを水に入れて、解体したばかりの合鴨のガラを圧力鍋で煮て、愛林館自家製の味噌とナンプラーで味をつけた。味噌味の鍋は高校生にも好評で、完食だった。
高校生も、引率の教員も、旅行代理店の社員も、皆喜んでくれたのは幸いだった。前日に杉本肇氏(杉本水産)の話を聞いたこともあって、いりこから出た味も格別だっただろう。
鍋の味付けなんて、仲間内の宴会で段々に覚えて、料理研究家池部美恵子先生にちょこっと習ったくらいなのだが、こうしてお金がとれるメニューにできたのは大変嬉しい。
この後も合宿の受け入れや宴会が結構続く。素材の味を楽しいで、美味しい酒を飲みたいものだ。