豊富な湧水と高冷地の気候を生かした米づくり(阿蘇市)

阿蘇市山田地区で米を生産する「農事組合法人 水穂やまだ」代表理事の中西洋介さん。約64ヘクタールもの広大な田んぼで、「コシヒカリ」や「森のくまさん」などのブランド米のほか、酒米の「山田錦」など5品種を育てています。兼業農家として父親から田んぼを受け継ぐと、次第に、近所の農家さんからも田んぼを託されるように。徐々に規模を拡大して専業農家となり、2018年に法人を設立しました。作業の負担軽減や効率化のため、スマート農業にも積極的に取り組んでいます。

中西さんの田んぼは、外輪山に囲まれた地域にあります。「作業中に周りを見渡すと、雄大な景色が広がっています。高台からは朝方、雲海が望めることも。贅沢な瞬間です」と話します。こうした、山々と田んぼといった阿蘇の田園風景を保全していくことも、中西さんが農業を続ける理由のひとつなのだとか。

もみ殻を取り除き、精米する前の玄米。中西さんがつくる米は、粒が大きく形が整っており、虫食いの跡も少ないなど、見た目の美しさが高く評価されています。「阿蘇の豊富な湧水と、高冷地ならではの日中と夜の寒暖差が、味と見た目の良い米を育みます。低地に比べて虫がつきにくく農薬を減らすことができるので、より安全な米を作ることにもつながります」と中西さん。近年は、化学肥料や農薬を、熊本県の基準値の半分以下の量しか使わない安心安全な「特別栽培米」の生産に注力しているそうです。

「稲作に適した湧水や気候、美しい景観など、恵まれた環境で農業ができることはとても贅沢」と語る中西さん。一方で、高齢化によって米作りの担い手が減り、使われなくなった田んぼが増えていることに危機感を抱いているといいます。「水田で継続的に米作りを行うことは、地下水の保全や、生態系の維持にもつながります。田んぼを守り、次世代に受け渡していくことが私たちの使命。さらに規模を拡大することも視野に入れ、これからも取り組んでいきます」(中西さん)。
新鮮な野菜や加工品など阿蘇の名産品が並ぶ「あその望の郷くぎの 旬鮮あじわい館」(南阿蘇村)

世界でも有数の大型カルデラと雄大な外輪山を持つ阿蘇山の南の麓にある観光施設「あそ望の郷くぎの」。その一角にある物産販売所「旬鮮あじわい館」には、地元産の新鮮な野菜や加工品のほか、久木野ブランド米、自家製の豆腐やあげ、こんにゃく、漬物、味噌、そばなど阿蘇地域の名産品が豊富にそろっています。
あそ望の郷くぎの 旬鮮あじわい館
住所:熊本県阿蘇郡南阿蘇村久石2801
電話番号:0967-67-3010
営業時間:9:00〜17:00 ※季節によって異なります
休館日:不定休