全国各地にあるブランド和牛。神戸牛や宮崎牛など「食べたことはないけれども名前は知っている」というほど有名なものですよね。
そこでふと気が付きました。
なんで「熊本牛」ってないんだと。
熊本県の肉用牛の飼養頭数は全国4位という地位であること、また阿蘇の「あか牛」の認知度などを考えると、ないほうがおかしいとすら感じてしまいます。実際どうなのかを調べてみました。
ある...っちゃある。
肉のことならJAでしょ!ということでやってきたのは菊池市旭志にあるJA菊池 畜産部畜産課。
菊池地域農業協同組合 畜産部畜産課の中原さん(左)と水上さん(右)
「結論から申しますと、熊本県のブランド和牛はあります。ただそれを「熊本牛」とは統一をしていない状態が続いていたので、ないんじゃないかという認識を持たれたのかなと」(水上さん)
今まではそれぞれの企業や畜産農家が独自で出しているブランド和牛を、それぞれの流通経路やブランディング(他社との差別化を図るためのマーケティング戦略)を行っていました。
出典 JA熊本経済連
例えば黒毛和牛だと、JAのブランド和牛「和王」、食肉卸の杉本本店が独自に開発した「黒樺(くろはな)牛」など、同じ熊本県内で育ったものとはいえど飼料や飼育方法などが異なるので、「熊本牛」というネーミングの統一が難しい状態でした。
「そこで、商品名は違うけれどもこれは間違いなく熊本の黒毛和牛だと一目見て分かるようにJAが統一したんです」(水上さん)
現在、認定されている商品に関しては、このシールを貼ることで統一しているのだそう。
味って違うものなの?
統一されたとはいえ先述したように飼料や飼育方法などまったく異なる環境で育った和牛ですから、きっとひとつひとつの商品も味が異なるのでしょう。
しかし気軽に購入できるような食材ではありませんから、なかなかパッと味の想像はつきにくいもの。
そこで悩むのが、実際に購入するとなった場合どのような商品を選べばいいのか分からない、ということではないでしょうか。
そこで具体的にどのような違いがあるのかを教えていただきました。
「やはり生産者の方々がしっかりとこだわりをもって飼育されているものですから、それぞれ明確に味が異なりますよ」(中原さん)
「和王はもう焼いたときの香りからして違いますね」(水上さん)
―では例えば、目隠しして食べたとしても分かるのでしょうか。
「やったことはありませんが、さすがに分かると思います」(水上さん)
―そんなに違うんですね。
「違います」(水上さん)(中原さん)
手間暇かけて。愛情かけて。
菊池市旭志で畜産を営んでいる安武(やすたけ)さんの牛舎にお邪魔しました。
ここでは、黒毛和牛と、黒毛和牛とホルスタインの交雑種である2種類の黒毛和牛が飼育されています。
飼料代の高騰などで苦しい経営を強いられている畜産農家が多く、安武さんも例外ではありません。
しかし一切の妥協をせずに飼料や飼育環境にもこだわり、飼育に取り組んでおられます。
「野菜や果物を生産されている農家さんは、その場で味を確かめることができますよね。畜産はそれができません。だからこそ環境整備や飼料へのこだわりはもちろんのこと、目の前の牛の体調など細かく見る必要があるんです」(安武さん)
しかも一度出荷してしまえば、どこに流通されるのかも個体認識番号を追わないと確認ができない状況。
だからこそ出荷までに、自身が持てるすべての手間をかけて、愛情を一心にそそぎ飼育されておられる姿が印象的でした。
熊本の黒毛和牛はここで食べられるよ!
「気になる!でも、いいお肉だからこそ自宅でフライパンで焼くのはもったいない!」という気持ちになりますよね。
そこで美味しい熊本県産の黒毛和牛をいただけるお店をご紹介します。
焼肉 もっこす
菊池市の有名店「焼肉もっこす」。
ここでは店主こだわりの熊本県産の黒毛和牛をあますことなく堪能できます。
コースメニューなどはないのですが、相談すれば予算に応じた内容でメニューを組んでくれますよ。
まずはご覧ください。
この美しいヒレ肉!
焼くと、もはや飲み物かと思うほどに柔らかいのが特長です。
「ここはステーキ屋さんなのか」と錯覚してしまうほど、上質なお肉が続きます。
次は濃厚な赤身がたまらない「ランプ」。
次に、このぶ厚いタン!国産の黒毛和牛のタンをこんなに新鮮で、ぶ厚い状態で見るのは初めて。
食感はコリコリというよりもシャリシャリに近く、味もとんでもなく濃厚!
ほかにも
こんなに美しいのは初めて見た!レベルなレバーや
ピンク色が美しい、しまちょうなど、さまざまな部位がいただけますよ。
なお「さすがにライス欲しいな」と気軽にオーダーすると
こんなことになります。
まさかの大盛。500円でこの量がくるとは誰が想像できたでしょうか。
これは目の前で見ると誰しも笑ってしまうレベル。使用されているお米も県産品で、熊本の美味しいものがここに集結していました。
もっこすの地図はこちら
(外部リンク)
まんまキッチン
JA菊池の直売所としても有名な、菊池郡菊陽町にある「まんまキッチン」。
一見すると、精肉店のように見えますが、実はここで購入したお肉をお隣の焼肉コーナーに持っていくと、その場で美味しいお肉をいただけます。
和王と味彩牛のロースの食べくらべとか、通常の焼肉屋さんではできない食べ方もここなら可能!
なかには割引商品もあるので、宝探し感覚でお肉をセレクトするのもまた一興ですよね。
野菜セットやキムチも販売されていましたよ。
レジ精算後に、スタッフから席へ誘導してもらえます。
ご覧ください。この豪華ラインナップ。
それぞれ味が全く異なるので、まずは少量ずつ購入するのがおすすめ。
そこでもし気に入ったものがあれば、帰りに購入しお肉のみ持ち帰ることも可能です。
この方法であれば、もっと気軽に熊本県産の牛肉を堪能できますよ。
実際に食べくらべて驚いたことは、本当に味がまったく異なること。
脂の甘さひとつとってみても、サラッとなくなるお肉もあれば、しっかりと口内を包み込むように余韻を残してくれるお肉など多種多様。
これは1人で堪能するもよし、家族や友人と食べながら楽しい話に花を咲かせるもよし。
県産の美味しいお肉を通じて、ぜひ楽しいひとときを見つけられてはいかがでしょうか。
まんまキッチンの地図はこちら
(外部リンク)