気が付けば秋本番。
そう!食欲の秋到来です!!
熊本県のお酒といえば、焼酎や日本酒という印象が強いものですが、実はワインも高い評価を受けていることはご存じでしょうか。
特に県内のファンにとどまらず、国内外のプロから高い評価を得ているのが今回ご紹介する「菊鹿ワイン」。
目の前のワインと食事を美味しくいただく。それだけでも充分なのですが、せっかく熊本県内にワイナリーがあるなら行ってみたい!ということで、知っているようで知らないワインづくりに密着してみました。
え!?収穫しているのは社員さん?
「農家の朝は早い」
そんな言葉を聞いたことはないでしょうか。特に果樹の場合、日が昇ってしまうと中の果実が熱くなりすぎてしまったりするので日が昇り始める前に収穫を行うのが一般的です。
今回の菊鹿ワイナリーも同様で、集合は朝3時。
「まあそりゃそうだよね」と思い現場に向かうと...
想像以上に大勢の人!
まだ夜明け前であるため、辺りは暗く、どの程度の広さなのか現時点では不明瞭ですが、こんなに多くの農家が集まるなんて、さすがブドウの産地、菊鹿だなあ。
全体説明を行う 熊本ワインファーム株式会社 西村 篤(にしむら・あつし)さん
「いえ、今回集まっているのは農家さんではなく自社社員です」(西村 篤さん)
えええええええええ!!!????
菊鹿ワインを製造している熊本ワインファーム株式会社は、「ワインのためのブドウをこの時期にこの量だけ育てて納品して欲しい」と農家さんと契約する契約栽培だけではなく、自社栽培のブドウも醸造しています。
収穫の時期は7月下旬から8月中旬までのわずか1ヶ月弱。
「せめてこの収穫だけでも農作業に携わりたい!」という熱い想いで社員が集結するのだそう。
この姿勢だけでも自社ブランドに対する誇りが伝わってきます。
現在、自社農園で育てているブドウの品種は
・シャルドネ
・カベルネ・フラン
・メルロー
・ガメイ
・ピノ・ノワール
・ゲヴュルツトラミネール
・ヴィオニエ
の、7品種。
今回はシャルドネをメインに収穫を行います。
さて、収穫方法など一通りの説明を受けたら、いよいよ実践です。
専用のハサミで収穫を行うのですが、単に実がついたものを収穫するのではなく、一個一個目視をし、花などは手で取り除かなくてはなりません。
しかしこれが想像以上に楽しい。
周りが真っ暗なので頭部につけたライトに照らし出されるのが目の前のブドウのみ、という環境で、ものすごく集中できるのです。
ワインをいただくときに、まさかこんな風に誰かの手作業でこのワインができているんだ、なんて考えたことがなかったのでこの時点でもう感謝の気持ちが湧いてきます。
ところで...
このブドウは、普段デザートとして食べているブドウと何が違うのでしょうか。
「大きな違いはタネの有無ですね。普段いただいているブドウは極力タネがないように品種改良が行われたものが多いのですが、ワインで使用するものはタネも皮も発酵させるので、そこが異なります。」(西村さん)
「一口食べてみてください」とのお誘いにまんまと乗っかりいただいたのですが、確かに小粒のわりにタネがしっかりとある!
味は甘みと酸味のバランスが見事!
そのままでも充分美味しくいただけるレベルです。
ここ菊鹿は肥沃(ひよく)な土に恵まれているので、育つ作物は味が濃いのが特長。
「ここで栽培されるブドウは、ワインにしても香りや味が損なわれず、よく『果実感がある』と言われます」(西村さん)
これは確かに納得です。
さて日が昇ってきた朝6時。
皆が収穫したブドウたちがコンテナで運ばれていく先は
搾汁機(さくじゅうき)!
よく考えてみたらブドウって実と皮、そして梗(こう)がついているんですよね。そのままエイヤ!!ってすべてを搾るわけにはいきませんから、このような機械でまずは実と梗(こう)に分けていきます。
収穫したばかりのブドウを投入し
ベルトコンベヤーで運ばれていくと
あっという間に実と梗(こう)に分かれていきます。
その後、機械の中で皮に切れ目を入れ、実から皮を外し

搾汁を行います。
ここから発酵タンクに運びこまれ、熟成を行い秋にフレッシュワインが完成するという流れです。
もうね、この搾りたての原液がとんでもなくいい香り!
我慢ならず無理にお願いをし、搾りたてシャルドネ100%ジュースを一杯。
とんでもねえ美味さだ!
1粒でも味が濃いのにそれがジュースになったんですから、濃厚!の一言。濃厚なのに酸味があるので、甘くなりすぎずこりゃどれだけでも飲める!
これが菊鹿ワインが「果実感がある」と称される所以(ゆえん)。
もう、とんでもなくブドウそのものの味が濃い!
それがワインになるんですから色んなプロがうなるのも納得です。
菊鹿ワイナリー・レストラン施設がリニューアル!
こんな美味しい菊鹿ワイン、飲んでみたいですよね。
でも味を良く知らないのに1本買うのは勇気がいるもの。そんなあなたに朗報です。
なんと2025年9月4日、菊鹿ワイナリー・レストラン施設がリニューアル!
ここでは、菊鹿ワインと合うお食事を楽しめますよ。
目印はこの赤い屋根の建物。それでは早速入ってみましょう!
店舗外観からは想像できないシックな雰囲気。
メニューはフレンチのランチコースのみ。
コースは、できる限り熊本県産品を使いながら、菊鹿ワインがより美味しくいただけるような内容をシェフが考案されています。
ハンドルキーパーの方にはソフトドリンクもありましたよ。
「せっかく来たのになんでジュース...」と少しテンションが落ちてしまいそうなあなたにおすすめなのが「スパークリングぶどうジュース」!
市販のぶどうジュースと思って飲んだら驚嘆(きょうたん)するレベル。
搾りたてのシャルドネをそのままいただいたあの時の味なんです。
ちゃんとワインを楽しみながらお食事をいただける雰囲気になりますよ。
ジャンボン フロマージュのテリーヌ 幸水のキャラメリゼ添え
前菜はこちら。
真ん中にあるジャンボンは、チーズとハムを交互に挟んだもの。チーズ臭さは皆無で、サラッといただける一品。イチジクのソースと絡めればとたんにスイーツに早変わりするので、一度で二度おいしい!
これに合うワインは何だろう?
そんなことを考えながら一口飲んでは確かめる。
これ案外、楽しい!
鹿本メロン冷製スープ 山葵(わさび)オイル
一見するとコーンやかぼちゃのポタージュのように見えるのですが、実はメロンの冷製スープです。最初にやってくる山葵(わさび)のツンとくる清涼感、そのあとに鼻孔にかけめぐるのは芳醇なメロンの香り。
残暑が続く熊本の気候にあわせて、さっぱりといただけるようにと考案された一品です。
季節によってスープも変わっていくそうですよ!楽しみですね。
湯布院サーモンのフュメと山鹿ファームのベビーリーフサラダ 産山村のエディブルフラワー添え
サーモンは、養殖が盛んな大分県湯布院のものを使用。
こんな贅沢なサラダがあっていいのか...と、ますますワインがこのあたりですすんできます。
天草ホロホロ鳥のシュプレーム焙りベルモット香るクリームのソース お野菜のコンソメ煮添え
天草大王は聞いたことがあるけどもホロホロ鳥...?と思いながら一口。
うん!これは間違いなくホロホロ鳥!だってホロホロしとるもん!と、このあたりから語彙力がなくなってきますが、そんな会話もまたワインとともに食事を楽しむスパイス。
しっとりとした肉の旨味がギュッと閉じ込められ、噛むたびに感動が押し寄せてきます。
弾力と味がしっかりとあるパンも添えられ、ソースに絡めてもよく合います。
りんごのタタン 4年熟成紅茶のジェラート添え
さあいよいよデザート!おすすめの食べ方は垂直の方向にフォークを入れ、ジェラートとりんごを一緒にいただくこと。
爽やかなりんごを芳醇な紅茶のジェラートがキレイに包み込んでくれますよ。
さて、大満足なコースをいただいたのですが、気になるのはそのお値段ですよね。
さぞかしお高いんでしょう...?と震えながら伺ったところ、なんと4,290円!(税込・ドリンク代別)
店内の雰囲気、そしてお料理のクオリティもあいまって、てっきり5,000円は軽く超えると思い込んでいたので、これは嬉しい誤算でした。
ワインはここで購入できます
お食事と合う好みのワインが見つかれば、お隣の建物へGO!
菊鹿シャルドネをはじめ
さまざまなワインと出会えますよ。
ここでもきっと種類の多さで迷ってしまうかと思うのですがご安心を。
1,900円で飲み比べができるので、じっくりと好みの1本を探せます。
2025年の収穫祭は10月25日、26日!
毎年、どんどんパワーアップしている菊鹿ワイナリーの収穫祭。
2025年は10月25日、26日の2日間、開催されますよ!美味しいワインを片手にライブBBQやグルメなどを満喫できます。
ぜひ秋の夜長にピッタリなおともを探しに、遊びに行ってみてはいかがでしょうか。
菊鹿ワイナリー地図
(外部リンク)