栗の収穫量が全国第二位である熊本県。
県下、さまざまな地域の栗を美味しくいただけますが、特に有名なのが山江村の「やまえ栗」ではないでしょうか。
「やまえ栗」は、GI登録(特定の地域を生産地とし、その土地の気候や風土と結びついた品質や歴史を持つ産品の名称を、国の知的財産として保護する制度)を受けているので、その美味しさもさることながら、品質管理なども厳しく決められているため、消費者側も安心して購入することができます。
安心して購入できる栗が身近で入手できるって本当にありがたいものですよね。
その恵まれた環境のおかげか、「栗が好き」という熊本県民も少なくありません。
しかし「栗が好き」その一言の裏側に秘められている本音って
「(誰かが下処理まで行って、あとは食べられる状態になった)栗が好き!」ということではないでしょうか。異論は認めます。
ところで、栗を愛してやまない熊本県民でも多くの人が知らない事実があるのはご存知でしょうか。
それは、栗は品種によって味が異なるということ。
一口食べただけで「これはこの品種」ってすぐに分かるほど、味がまったく異なるのだそう。
ということで今回は「やまえ栗」でお馴染み球磨郡山江村へ行き、味の違いや、どこに行ったらすでに下処理まで終えられていて、あとは食べるだけの状態になった「やまえ栗」を食べられるのか?などを教えてもらいましたよ!
そもそもなんで「やまえ栗」って有名なの?
やってきたのは球磨郡山江村にある栗園。
2025年は猛暑の影響で少し生育が遅れているとのことでしたが、素人目からすれば非常に立派な栗に見えます。
しかし...
栗の木だけを見ても...
味の違いどころか、何がどの品種なのかさっぱり分かりません。
分からないなら分かる人に聞けばいい。
ということで今回はやまえ栗の生産者の方にレクチャーしてもらうことにしました。
ここでは
など10品種を栽培しているのだそう。
とはいえ、この広大な敷地ですから何の木が何の品種なのか?というのはどうやって見分けを付けているのでしょうか。
「うーん、まあ大体わかりますよ。葉っぱとかね全然違うでしょ」
分からない...
「あ、これなんか分かりやすい。栗の女王様って言われている美玖里(みくり)」
いや分からない...
見た目もさることながら、やはり品種によって味も形も異なるようで、生産者の皆さんは違いがすぐにお分かりになるのかと伺ったところ
「まあ味の違いくらいは分かる」
「ばってん、目隠しされてアーンってされたら俺は分からん」
「いや俺は分かる」
…だそう。
分かりやすい味の違いがある、というよりも食感であったり、くちどけであったりなどの違いが大きいようです。
そう聞くと「実際、食べ比べしたい!」って思ってしまいますよね。
ご安心ください。ちゃんとできる場所がありますよ。記事の最後でお知らせしますね。
話は戻り、他県でも同じ品種が栽培されているとのことですが、それではなぜ「やまえ栗」は評価が高いのか?という疑問がわいてきます。
県内外のファンを魅了しているということは、何かしら特別な栽培方法などがあるのでしょうか。
「特別な栽培ってことはないんですが...恐らく盆地特有の寒暖差と山江村の土じゃないかなあって思ってます」
やまえ栗を育むこの土壌は、実は赤土。
赤土で育った栗は風味と甘みが強いのが特徴なのだそう。
その美味しさが評価され1977年に皇室献上栗に選ばれたほどです。
そうなるともう太古の昔から山江村では栗を栽培してきたのかと思ってしまうのですが、もともとは里山を利用して何かしらの収益をあげよう!と、栗の栽培に着手し始めたのが始まりだそう。
しかし出荷量の問題から山江村以外で作られた栗と混ぜて「球磨栗」という名称になってしまいました。
「確かにどこの地域でも栗はできます。ただ、やまえ栗という固有名詞をどうしても残したいという思いがあったんです」
そこで考え付いたのが、GI登録。
GI登録を行うことで、やまえ栗の固有名詞の存続はもちろんのこと、類似商品の排除や、ブランドを確立することができ、ひいては利益の保護にも繋がることが期待できるためです。
またGI登録は単に名称を登録するだけではなく、品質基準や生産行程もきちんと基準があるので、ちゃんと管理されているという安心にも繋がり消費者側にもメリットが存在します。
熊本県のGI登録産品数は全国1位。やまえ栗のほかに、くまもと県産い草やくまもとあか牛、八代生姜、くまもと塩トマトなど10の産品がGI登録をされているんですよ。(※令和7年9月時点)
どこで食べられる?
そんなに評価されている栗となればもう食べたい!そう!今すぐだ!!!
って昂(たかぶ)ってしまいますが先述したように自分で鬼皮を処理するのは無理!!
だから、フラっと出向いてもすぐに購入できて、なおかつすぐ美味しく食べられるお店はないか?を教えてもらいましたよ。
やまえ栗まつり
出典 山江村
この時期、新鮮でなおかつお求めやすい価格でやまえ栗を入手したいなら、9月23日に開催される「やまえ栗まつり」がおすすめです。
生栗の販売のほか、やまえ栗を使ったスイーツも販売されていますし、ゲームなど内容盛りだくさん!
山江村物産館ゆっくり
山江村にある物産館「ゆっくり」。
できたての栗まんじゅうをはじめ
やまえ栗を使用した「どら焼き」や「ソフトクリーム」をいただけます。
温泉施設も併設されているので、やまえ栗祭の帰りに寄ってもいいかもしれません。
やまえ堂
同じく山江村にある「やまえ堂」。
やまえ栗の味くらべであればここにお任せあれ。
自社製造している栗きんとんは、なんと品種別で作られています。
え?こんなに違うの?!と驚くこと間違いなしです。
熊本市内ではなかなか見かけることができない、こんな大きな栗の甘露煮も購入できますよ。
メゾンドキタガワ
「山江村まで出向くのは難しい」という方におすすめなのが、熊本市南区にある「メゾン・ド・キタガワ」。
9月5日から、山江村の栗をふんだんに利用した山江マロンパイ、山江モンブランが期間限定で販売されます。
香ばしいバターの香りをふんだんにまとったパイに、やまえ栗のペーストと甘露煮がゴロっと入っているので一口で幸せな気持ちになること間違いなし。
山江モンブランはやまえ栗そのものの味をしっかりと堪能できるよう中のクリームはなんと砂糖不使用。
本来の味を充分に味わえる一品です。
メゾン・ド・キタガワのほかにも「やまえ栗」を使用したスイーツを販売しているお店はこちら!
ぜひお出かけの参考にされてくださいね!
山江村公式Instagram
@yamae_village_official
(外部リンク)