よく考えたらキビナゴって本当に優秀ですよね。
だって、骨も丸ごとパクリといけるから栄養価も豊富だし、美味しい。
「お魚は骨があるからちょっと苦手」という方でもキビナゴサイズの骨であれば違和感なく食べられ、まさに老若男女すべてに愛される魚である!とすら思うのですが、いかんせん料理のレパートリーが、天ぷらしか思いつかないのがネック。
きっとキビナゴ漁師なら天ぷら以外の美味しい食べ方を知っているに違いないと思い、牛深まで行き教わってきました!
これが牛深のレインボーブリッジや!!!

さて現在の時刻は午前1時。
キビナゴは午前1時から漁の準備を行い、2時に出発。
6時から行われるセリに間に合うように戻ってくる、というのが一般的な流れです。
「もう慣れましたけど最初はもう何時に寝ればいいのか分からなかったですね」
そう言って笑うのは、キビナゴ漁師見習い中の宮本さん。
元々、自衛隊に勤務していましたが今後の人生を考え、大好きな牛深の海で漁師になりたいと思い現在単身赴任で見習いをしているのだそう。

「真夜中の海は何も見えない」なんてものは完全な思い込み。
暗闇のなかで、まるで宇宙にいるかと思うような錯覚を起こしてしまうほどの、辺り一面ボウっとした光りが。
これは夜光虫(水面への刺激で発光するプランクトン)が出す光りのなのだそう。
牛深の海は昼も夜もこんなに美しい景色を魅せてくれるのですね。
海の美しさに夢中になっていたら、あっという間にスポットに到着。
キビナゴは光りに集まる習性があり、それを利用するため海中に灯り(集魚灯)を入れ、網を放ちます。
あとはその網にキビナゴがかかるのを待つのみなのですが、〇分待ったらOKなどのマニュアルはなくすべて船長の長年の勘。

「よし」(餅原さん)
「はい」(宮本さん)

勢いよく跳ねるキビナゴ。振り落とすことでウロコも除去している。
事前に敷いていたブルーシートにキビナゴを一気に振り落とします。
一見、乱暴にも見えますが実はこうすることでキビナゴについているウロコを除去できるのだそう。
その後も場所を変え、作業を行うこと2~3回。
この作業を夜が明けるまで行っています。

夜が明けてきたら終了…と思いきや
漁師おすすめ!キビナゴの食べ方

使用するのは水と、調味料は塩と醤油。
沸騰したらキビナゴをそのまま鍋に入れれば完成です。
これがまた想像以上に美味しい。キビナゴ本来の味がしっかりと感じられるのですが、一度煮込んであることで骨と身の部分がスルンとほぐれていくのです。
「せっかく牛深のキビナゴを食べるなら、牛深ハイヤの一節にも出てくる有名な食べ方サカスゴキがおすすめ。骨だけを残して食べる方法。もちろん骨も食べられるんですけどね」(餅原さん)
サカスゴキ…?
その名称だけでは想像もできなかったので、やってもらいました。
牛深のキビナゴはここで買えるよ!
実は県内のスーパーでよく見かけるキビナゴは県外のものが大半なのはご存じでしょうか。
牛深で揚がったキビナゴは、その美味しさから関東や関西に卸されることが多いので、なかなか牛深産のキビナゴを熊本県民が口にできる機会は多くはありません。
「じゃ食べられないの?」と思って聞いたところ、牛深での鮮魚店であれば取り扱いをされているとのこと。
まずは牛深漁協近くにある成松鮮魚店。