執筆者 : 田中眞知子
くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様にくまもと食・農ネットワーク運営委員の日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、当ネットワークの運営委員によるリレーコラムを掲載しています。
第12回目は、当ネットワーク運営委員の田中眞知子さんです。
「食卓の風景」 尚絅大学 田中眞知子
私の生家は農家で、米、麦、野菜、葉タバコなどを栽培していました。小さい頃から、田植えや稲刈り、脱穀の手伝いをしていました。現在も、家の周りの畑にはトマトやナスなどを植えています。ピーマンや胡瓜はすでには大きな実をつけ、家族で食べるには十分な量です。食糧自給率が取りざたされていますが、我が家における野菜の自給率はかなり高く、4月以降収穫した農作物は,人参、きぬさや、グリンピース、そらまめ、グリーンアスパラ、にら、青シソ、梅、玉ねぎ、じゃがいも、きゅうり、なす、ピーマン、水前寺菜(みふね菜)、ニンニクなど10種類以上になります。収穫数量は少ないのですが、食卓をにぎやかにしてくれています。とりたての野菜の新鮮な味わいは、豊かな気持ちにさせてくれます。離れて暮らす家族や親類に、時々送りますが、楽しみに待っていることがよくわかります。熊本に住んでいますと、食材の豊かさに慣れてしまいがちですが、故郷を離れてみて、熊本の食の豊富さが改めてわかるのだと思います。
新鮮な農作物の収穫は楽しみですが、日頃の地道な作業が必要なことは言うまでもありません。休日には畑に出かけますが、トラクターや機械での作業は家族が行っています。ジャガイモの収穫は春先の天候の影響のためか、昨年より少なく、小さなジャガイモが沢山ありました。畑に放置するのも気が引けて、すべて持って帰り、どのようにして食べるか悩んだ挙句、「せんだご汁」を作ることにしました。ジャガイモを水の中にすりおろし、滓とでんぷんにわけ、それらを団子にして、いりこのだし汁の中で火を通すのです。大学でも、かなり以前に調理実習で作っていたことがありました。機会があればまた、学生と一緒に作りたいと考えています。
食べることは生きることです。その人の食に対する思いや「食べ方」が「生き方」につながっていくような気がします。毎日の食卓を大切にし「いただきます」の言葉をかみしめながら、食べ物と向き合っていきたいと思います。
