くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、リレーコラムを掲載しています。
第102回目は、水俣市久木野ふるさとセンター 愛林館館長 沢畑 亨さんです。
【香り米の収穫】
棚田では、秋の長雨で稲刈りが遅れましたが、終わりました。今年はまずまずのお米のできのようです。宮城に住む私の友人は、夏の日照が不足して不作だったようです。
愛林館の棚田でも、久しぶりに普通の栽培方法で香り米の餅米を収穫しました。2反でもみ600kgくらいですから、玄米なら500kgといったところ。ヒノヒカリの半分くらいです。
香り米は背が高く、脱粒もしやすい、昔の品種です。籾の先にのげも生えています。昔から伝わる品種で、私も近所の婆ちゃんから種をもらって育てました。でも、乾燥をしてもうるち米が混じっているようになってきました。
そこで、原因がわかるような研究者を探して、弘前大の石川教授を知りました。水俣と弘前は遠いのですが、ちょうど鹿児島大や宮崎大で学会があったということで、2回ほど棚田に来ていただきました。一緒に稲を見てみると、一つの品種と思っていた香り米にも、のげが少ない/多い、のげが赤い/白い、背が高い/やや低いといった違いがあることがわかりました。
なので、違いがわかって以来、のげが少なく、背がやや低い株を刈って種にしています。今でも、そうでない株もだいぶあるのですが。。。お米の香りや味にはあまり変わりはないようです。
今年の夏、高知で香り米の棚田を訪ねましたが、やはりいくつかの品種が混じっていました。昭和30年代の初めに、香り米を見出した方のお話も聞きましたが、昔に比べて香りが弱くなった気がする、ということでした。なかなかお米の品種の質を保つのも大変です。種子法を廃止して、原種の維持は今後大丈夫でしょうかね。
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香り米の穂の様子 | 稲刈り開始時の棚田 |