くまもと食・農ネットワーク会員や当サイトをご覧の皆様に、くまもと食・農ネットワーク運営委員の、日頃の地産地消に関する活動や考えをご紹介することで、皆様の更なる地産地消活動への一助にしていただくため、リレーコラムを掲載しています。
第100回目は、野菜ソムリエ上級プロ 持田成子委員です。
『野菜の旬と栄養価~旬を知り、豊かな食卓を~』
持田 成子
熊本は豊かな自然と阿蘇山系を源とする豊富な地下水に恵まれ、1年を通して、野菜に限らずさまざまな農産物を収穫できる全国でも稀に見る豊饒な土地…年間を通して産地をリレーしながら県産の野菜・果物を食せる豊かで幸せなところです。
学生時代に「野菜の栄養価は季節によって大きく変化する」という研究に出逢って以来、野菜の旬と栄養価について興味をいだき続け、「旬」をテーマの一つにしてきました。この研究のはじまりは、「夏のほうれんそう」の栄養価。食品成分表とあまりにも違いすぎる値に何度も繰り返した実験がきっかけで「野菜の栄養と季節」の関係を探る研究が長年にわたり続けられ「野菜のビタミンとミネラルの季節変動」という一連の研究結果が明らかにされました。旬の野菜の栄養価は昔も今も変わらず、野菜は旬の時期に最も充実した栄養価をもつということです。
私たち人間の体のバイオリズムとも関わりが深い「野菜の旬」。たとえば春は、季節の変わり目による体調の変化やストレスを感じる時期、ふきのとうやたらの芽など新芽を食べることでその苦みが眠っていた細胞を活性化させてくれます。また、冬から春にかけて出回るブロッコリーやカリフラワーには、アミノ酸やビタミン類、ミネラルが含まれ、春のストレスや疲労解消に役立ちます。暑さでバテ気味の夏も同様。暑さのために新陳代謝が悪くなる夏は、水分や塩分をとり過ぎ、体がむくみがち…カリウムを多く含む、キュウリやトマトなどのぶらり野菜を食べることで、体の中の余分なナトリウムを排泄しむくみを防止にもなります。またぶらり野菜には様々なビタミンが豊富で、さわやかな食味のものが多く、食欲がない夏でもしっかり野菜をとることができ、秋に備えていくのです。
旬のものには人間がその季節に必要としている栄養がたっぷり含まれ、それらを取り入れた食事が健康へとつながります。
健康志向の高まりとともに健全な食生活のために野菜を積極的に食べようという意識は年々強くなってきました。さまざまな野菜の持つ栄養成分や健康効果など、野菜の関する情報も増え、知識も多く得られるようにもなってきました。農産県としてトップレベルにあり、前述したように、年間を通し県産の新鮮な野菜・果物が食せる有難い土地に住みながら県民の野菜摂取量の都道府県順位は高くなく、平成24年度で男性は29位、女性は28位という結果が出ています。
恵まれた自然に感謝し、旬を意識する…。「旬」を知って食べると心豊かに、健康に過ごせるような気がしませんか。野菜・果物はもちろん、バランスよく組み合わせて日々の食事を楽しみ、健康に過ごしていただけたらと思います。
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【1年間のほうれんそうのビタミンC量の変化】 | 【野菜ソムリエ上級プロ 持田 成子委員】 |